こんにちは。持明院の寺嫁です。
2022年8月15日午前10時から、本堂において盂蘭盆会施餓鬼お位牌供養法会を執り行いました。
密にならないよう対策を取ったうえで法要を無事終えることができました。
昨年より、境内の蓮の葉を使って、「水の子」というお供えをしています。
これは、洗ったお米と小さく切った旬の野菜(ナス、キュウリ)を水に浸し蓮の葉に乗せたものです。
餓鬼道は、生前、他の者に分け与えず、自分のみ貪欲にものを欲した強欲な者が陥る六道のうちの一つで、餓鬼になると口から火を噴き喉は針のように細く、飢えと渇きでどんなに食べ物を欲しても、目の前の食べ物は燃え尽き、喉も通らず、食べることができないという苦しみを味わいます。
その餓鬼にお供えするのが「水の子」です。
水に浸した洗米と小さく切ったナスやキュウリは、そうした餓鬼でも食べられるようにという心遣いからでしょうか。
なぜお盆に先祖供養をするようになったのか・・・
諸説ありますが、お盆の由来になった説の一つに『仏説盂蘭盆経(ぶっせつうらぼんきょう)』に説かれる目連尊者のお母さんのエピソードがあります。
神通力第一の木蓮尊者が、自分の亡くなった母が今はどうしているのだろうかと、神通力で冥界を見ると亡き母が餓鬼道に落ち、上記のような苦しみを受けていました。餓鬼道の苦しみは限りない・・・そこで木蓮尊者は釈尊に救済方法を尋ねました。
釈尊は答えるには、
「汝の母の罪は深く、汝一人の力では救うことは出来ないが、十方の衆僧の威神力(不思議な力)を頼めば救うことができよう。
7月15日はちょうど衆僧達の三ヶ月の仏道修行の最終日であり、修行中の自己を反省し、互いに懺悔滅罪する良い機会であるから、その時に盂蘭盆会を設けなさい。
盂蘭盆会は過去7世の父母及び現在の父母、また苦役のさなかにあるもののために供養を営む日です。
この功徳により未来は必ず三途(地獄・餓鬼・畜生)の苦を離れ楽土に生ずるでしょう」
そこで木蓮尊者は衆僧にお接待をし、亡き母のために祈ったところ、餓鬼道の苦を免れたそうです。
これが先祖供養を行うお盆の由来の一説です。
自分の母があの世で苦しんでいる姿をみた木蓮尊者はさぞ同じように苦しかったでしょう。
私たちは御先祖様の姿を見ることは出来ませんが、節目節目にご供養することで、御先祖様達が楽土にて楽しく過ごせてたらいいなぁと思います。
ちなみに施餓鬼(餓鬼の供養)については、また別のエピソードがあるのですが、それはまた来年のご紹介。
ある仏教哲学者はこのように言っています。
餓鬼とはおそらく、あくことを知らぬ人間の所有欲をあらわしているのであろう。
我々は皆、必ずしも死者の霊ではないけれども、餓鬼である。
死んだと思われるものを供養することによって、我々は我々自身を供養している。
「施餓鬼」とは、先祖供養とともに餓鬼にも施し供養することで、ご先祖様とともにご供養なさったご自身にもその功徳がめぐってまいります。
皆様方のご先祖様、そして皆様方に功徳がめぐるよう懸命に勤めさせていただきました。
このような時節柄ではありますが、一日も早くかけがえのない平穏な日常が戻りますように、お祈り申し上げます。
───── お知らせ ─────
毎月24日はお地蔵さまとご縁を結べる縁日です。
11時から本堂にて護摩を焚き、ご供養ご祈願をしております。
お気軽にお参りください。
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