こんにちは。持明院の寺嫁です。
8月6日午前8時15分
半鐘を打ち鳴らし、原爆投下や戦災によって亡くなられた物故者に黙とうを捧げ、慰霊法要を執り行いました。
昨年は、持明院がかつて爆心地から500mほどのところにあったこと、持明院にまつわる原爆の被害や、旧広島市立高等女学校の先生と生徒さん達との関係、そして当院の本尊様のお話をお伝えさせていただきました。
(過去ページ:原爆犠牲者・戦災死没者 慰霊法要(2020年))
私はその文章の最後を、こう締めくくりました。
戦争によって生まれた多くの悲しみや原爆の悲惨さは、
平凡な生活の中に起きた現実であり、
決して過去の出来事として忘れ去ってはならない
それは広島市に嫁いでから、ひどくそれを実感したことがあったからです。
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私は、広島県の隣県、山口県の出身です。
副住職の話によりますと、広島県では平和学習に多くの時間を割き深く学習してきたそうですが、山口県で育った筆者としては隣県ではありますが、残念ながらそれほど多くの時間を平和学習に割いていた記憶がありません。
世界で初めて投下されたその爆弾がどれほどの悲劇を生み出してきたのか…
もちろん、それは日本人として、学び、見聞きしてきたので知ってはいますが、
—身近に感じていたか
というと、やはり大きく「はい!」と言えるほど実感は伴っていませんでした。
そんな中、「この悲劇は平凡な日常に起きた現実だったのだ」と深く実感した出来事が二つありました。
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一つは、ご縁をいただき、広島市にあるお寺に嫁いだこと、そして主人(副住職)の曽祖父が原爆で亡くなっている、ということです。
嫁いで間もなく、境内にある幾多のお墓に同じ日付、「昭和二十年八月六日没」の文字が刻まれていることに気づきました。
そして、嫁いだ最初の夏、8月6日の法要の後、住職(父)と母が、原爆で亡くなった1945年当時の住職(曾祖父)の話を聞かせてくださいました。
「身内」が原爆で亡くなった、ということは、「物語」から「現実」へと強く私をいざないました。そして、命は助かったものの、戦後一瞬にしてすべてを失い、残された祖父母の壮絶な戦後にも思いをはせました。
今、自分がここにあるのもすべてが、その過去とつながっているのだと思うと感慨深く感じました。
二つ目は、昨年、NHK広島放送局が企画した、被爆75年企画「1945ひろしまタイムライン」を見たことです。
これは、戦争の記憶が薄れつつある中、若い世代に被爆体験を継承し、戦争の時代の社会状況についてリアリティーをもって伝え、考えていただくことを目的とし、当時を生きた3人(新聞記者の一郎さん、主婦のやすこさん、中学1年のシュン君)の実際の日記をもとに、もし当時Twitterがあったらどんなツイートをするか、という発想で行われたものです。
8月6日までは、「戦時下での日常」がツイートされていました。
それだけでも興味深く読んでいたのですが、8月に入ってからはドキドキが止まりませんでした。
ついに迎えた8月6日の朝は、もう心臓が喉から飛び出しそうなほどでした。
特にシュン君は、その日の早朝より、先生から頼まれたお使いのため、疎開先から広島市内に向かうことになっていたのも、筆者の緊張を大きくしていました。
8時15分、副住職が打ち鳴らした半鐘を聞くと、筆者の頭の中は1945年のあの時にタイムスリップしました。まさに、企画の意図通り、筆者は実に強いリアリティをもってこの日この瞬間を迎えました。
それ以降、8月6日の3人のツイートには、時間とともに、大きな混乱と、そして地獄の描写が続きます。
日常の中に、たくさんの死体や全身が爛れながらも彷徨い苦しむ人々、未知がゆえに生まれる大きな不安や混乱が突如、嵐のように舞い込みます。
この企画はツイートという「時間軸」を作ることで、筆者の中に、今まで見聞きした「物語」から、「現実」と「臨場感」を強い色彩をもって加えました。
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今年も迎えた8月6日。
刺すような強い日差しと晴れ渡った広い青空。
76年前もこんな青空だったのかな…と、見上げた青空に、当時は爆音とともに突如としてこの青空に現れた、謎のきのこ雲から始まった非日常に思いを馳せ、亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに当たり前のように過ごせる今日の平和な日常を感謝しました。
戦争によって生まれた多くの悲しみや原爆の悲惨さは、
平凡な生活の中に起きた現実であり、
決して過去の出来事として忘れ去ってはならない
───── お知らせ ─────
毎月24日はお地蔵さまとご縁を結べる縁日です。
11時から本堂にて護摩を焚き、ご供養ご祈願をしております。
お気軽にお参りください。
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