今後、お墓の管理が出来るものがいない
後世に負担をかけたくないから、自分の代で整理したい
そういった理由から、近年「墓じまい」をする方が多くいらっしゃいます。
特に「後継者がいない」という方が多く、現代の核家族化の状況が、代々受け継がれ守られてきた「お墓」の在り方とマッチしなくなっており、「一家に一基」から「一人・夫婦で一基」といった形にニーズが変化してきています。
「今の自分の命は多くの先人によって紡がれてきたもの」
そうした代々のご先祖様への感謝を感じる場でもあったお墓が維持できなくなっているというのは、少し寂しい気もしますが、
後継者のいないお墓は将来無縁仏になって放置されることになりますので、きちんと墓じまいすることは代々のご先祖様を大切に思われている証であり、後世へ向けての最大の供養ともいえるのではないでしょうか。
そこで、今回の「墓じまい」についての第2回目は、実際の手順をお伝えしたいと思います。
1.ご家族と相談する
まずは、ご家族に墓じまいをしたい旨を伝えましょう。
お墓は家族すべてに関わります。
妻・夫・子供たちの同意をもって、墓じまいを進めていきましょう。
2.墓じまい後の移転先の納骨場所を決める
どんな人が墓じまいをしている?
墓じまい後、移転先の納骨場所はどこがいい?
気になる方はこちら↓
3.ご親族に「墓じまいをしたい」旨を伝える
移転先の納骨場所にある程度目星がついてきたら、ご親族に墓じまいをしたい旨を伝えましょう。
お墓は、継承した当家のみならず分家の方々など多くの方がお参りされる大切な場所です。
特に定期的にお墓参りされる可能性があるご親族の方には、墓じまいの旨をお伝えしておいた方が、後々に親族同士でのわだかまりなど問題が生じにくくなります。
当院でも時々、「お墓参りに来たらお墓が無いんですけれど…!?」とびっくりされる方がいらっしゃいます。
「伝えられていない」「知らなかった」というのは、なんとも寂しく疎外感を感じるものです。
できるだけ関係者の方には事前にお伝えしておきましょう。
4.「改葬許可申請書」を手に入れる(現在の納骨場所が広島市の場合)
墓じまいをすると遺骨を移動する必要があります。
遺骨を移動することは「改葬」になります。
現在の納骨場所が広島市の場合は「改葬許可申請書」を作成して、市から改葬許可を得る必要があります。
「改装許可申請書」は広島市HPでダウンロードまたは「広島市保健所環境衛生課」の窓口で手に入れることが出来ます。
上段が「申請書」、下段が「許可証」となっており、広島市の場合は、この1枚で完結します。
ちなみに、この改葬手続きは市町村によって違いますので、現在の納骨場所が広島市以外の場合は、「市町村名 改葬手続き」で調べてみると市町村の説明ページが見つかると思います。
5.改葬手続きを行う(現在の納骨場所が広島市の場合)
5-1.改葬を承諾してもらう
現在の菩提寺または納骨施設管理者に墓じまいしたい旨を伝え、承諾を得ます。
墓じまい後、移転先が別の寺院になる場合などは、現在の檀那寺を離壇することになる場合もあります。
5-2.「改葬許可申請書」に記入・押印してもらう
現在の菩提寺または納骨施設管理者に承諾を得たら、「改葬許可申請書」に記入・押印をしてもらいます。
5-3.申請書を役所に提出して「改装許可証」を手に入れる
広島市保健所 環境衛生課へ申請(改葬許可申請書を提出)します。
「改葬許可申請書」の下段が「改葬許可証」になっており、そこに役所の承認印が押印されます。
これで無事、市から改葬の許可が下りました。
6.遺骨を取り出す
遺骨を取り出す日時を現在の菩提寺または納骨施設管理者に連絡します。
「改葬許可証」を現在の菩提寺または納骨施設管理者に提出し遺骨を取り出します。
7.墓石を撤去する
お墓に納骨されていた場合は、墓石を撤去する必要があるため、墓石業者さんなどに連絡して撤去します。
その際、閉眼供養のお勤めをいたします。
遺骨を取り出す際に、閉眼供養のお勤めと墓石撤去をされると、何度も足を運ぶ手間が省けます。
墓石撤去の業者をご自身で手配するのが大変な時や、墓石撤去のお勤めなど分からないことがありましたら、菩提寺に相談してみてください。
8.遺骨を納める
遺骨を納める日時を移転先の納骨施設管理者に連絡します。
「改装許可証」を移転先の納骨施設管理者に提出し、遺骨を納めます。
以上で墓じまいは完了です!
お寺としては、先祖代々皆様が受け継がれてきたお墓が少なくなるというのは寂しい思いもありますが、世は諸行無常、絶えず変化し続けておりますので、過去未来にこだわらず現在の在り方に合わせて、供養の形が変化していくのもまた必然と言えます。
今ある皆様方にとって、この記事が、より良い供養の形の一助となりましたら幸いです。
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